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ミステリーや映画、パソコンなど趣味の話題を書きつらねています。最近はもっぱら映画の感想、そしてデジカメやパソコンなどデジタル機器に集中しがち。アジア関連の話題は別ブログ「萌えるアジア」に書いています。
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高木彬光「成吉思汗の秘密」
後に「邪馬台国の秘密」「古代天皇の秘密」と続く神津恭介ベッド・ディテクティブものの第一弾。盲腸で入院した神津恭介の退屈をまぎらわせるため、松下研三が提案したのは、ジンギスカンは源義経だったという伝説の検証。
ジンギスカン=源義経説はそれなりに説得力もあるのだが、やはりよく読んでいくとかなり強引なこじつけもあり無理がある。さらに問題なのが、作中で神津恭介が発見したことになっている事柄の大半が実は小谷部全一郎「成吉思汗ハ源義経也」の受け売りなこと。これはいかになんでも反則でしょう。
ただ、小説の構成の面から見ると、助手をつとめた大麻鎮子とのロマンス?あり、学者との論争ありと工夫が凝らされている。後の2作ではこういう工夫が見られない。

    
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高木彬光「狐の密室」
ついに神津恭介ものの未読長編もこれがラストとなってしまった。
この「狐の密室」は、高木彬光が創出した二人の名探偵・神津恭介と大前田英策が共演するという、珍しい試みの作品。
大前田英策がある財閥当社からの依頼で龍良教という新興宗教の調査に向かったところ、教祖が密室の中で殺されるという事件に巻き込まれる。……というわけでストーリー自体は大前田英策中心に進行していき、あれ?神津恭介はいつ出てくるんだと心配になってくるのだが、ついに大前田英策の力ではどうにも事件の謎を解くことができず、たまたま英策の妻が知り合った神津恭介に助けを求める。
現地に到着するやいなや事件の謎を解明してしまう神津恭介。出番は少ないがさすがの貫禄。
さて、後は以前読んだことのある神津恭介ものの再読だ。

    
高木彬光「人蟻」
「成吉思汗の秘密」で神津恭介ものに一区切りをつけた高木彬光が新たに挑んだ社会派推理小説の分野。
弁護士・百谷泉一郎が活躍するシリーズの第一作。後に彼の妻としてときには泉一郎以上の活躍をする明子も登場。
ただ、弁護士が主人公というのに法廷が舞台になるわけではなく、企業がらみの犯罪ということもあり、全体としては無理のある印象。

    
高木彬光「連合艦隊ついに勝つ」
だいぶブログをさぼってしまいました。この間韓国に行っていたのですが、その間も読書にはげんでいたので、けっこう読み進めることができました。
まずは「連合艦隊ついに勝つ」。ひところ架空戦記ものがはやったが、これはその草分けともいえる作品。
戦史マニアの男が、「ミッドウェー海戦」をはじめ太平洋戦争の分岐点となった4つの海戦の場にタイムスリップ。その知識を活用し、戦局を優位に導く……。
しかし、局地的には歴史を改変し日本軍を勝利に導くことはできても、歴史の大きな流れを変えることはできなかった、という当然といえば当然の結末。

    
高木彬光「死を開く扉」
いよいよ神津恭介ものの長編も残りあと2冊。
今作は、旧友のいる福井県小浜に遊びに行った松下研三が、奇妙な密室殺人事件に遭遇。
この被害者、四次元世界の謎にとりつかれ、2階の部屋の壁をぶち抜いて何もないところに扉を取り付けた変人だった。この男が、中から鍵のかかった部屋の中で、額を至近距離から撃たれて死んでいた。

松下は松下なりに推理を働かせるがどうにもならない。神津恭介に助けを求めるが、すぐには現場に来られない神津は電話で謎の伝言を残す……。

基本的に最初に起きた密室殺人がすべてなのだが、若狭の金塊伝説やらウエルズの「緑の扉」やらの薀蓄があったり、また最初の事件に起因する第二の事件が置きたりと冗長な印象。
もともと「四次元の目撃者」という中編を長編化したもののようだが、これだったらもとの中編のほうが読みやすいかも。

しかしこのトリック、いかになんでも無理があるなぁ……。

    
NEXUS 7 購入
来週韓国に行くので、そのときに韓国の旅行ガイドなどの書籍を自炊したPDFデータをiPadに入れてもっていこう……と思っていたのだが、iPadを外で持ち歩いて見るのもつらいしなぁ、7インチくらいのタブレットならちょうどいいかな、と思い始め、急遽7インチのタブレットを購入。
本当なら、もうすぐ発表とも噂されているiPad miniを待てばいいのだが、何せ旅行に行くのがもうすぐなので待っていられない。というわけで現在発売されているものの中から物色した結果、GoogleのNEXUS 7を購入。
メモリ16Gで$249。なので本当なら2万円程度で買えるところだが、この機種まだ日本では発売されていず、輸入業者に頼ったため3万円弱かかってしまった。もう少し時間をかけてよければもっと安く買える方法もあったと思うが仕方ない。

実はこの機種を買う前に同じ7インチタブレットで、LenovoのIdeaPad Tablet A1-07という機種を秋葉原の中古ショップで買っている。こちらは中古で1万1800円という激安価格。しかしこれにPDFファイルを入れて、「i文庫 for Android」で読もうとしたところ、ページをめくったり、拡大縮小したりするたびにいちいち時間がかかり、ちょっと使い物にならない感じ。画面の大きさ的にはちょうどいいのだが、やはり処理速度は大事ですね。

さて、NEXUS 7のほうはというと……同じPDFファイルを入れ、同じアプリで読んだところ、非常にスムーズ。そうそう、期待していたのはこれ! これなら使えそうだ。ただ、ときどき画面がウンともスンともいわなくなってしまう。なんのタイミングだろう。

    
高木彬光「邪馬台国の秘密」
「古代天皇の秘密」に続き、「邪馬台国の秘密」を読み返したくなったので読んでみた。
この作品を読むのはこれで3度めかな。
さすが、こちらはテーマが「邪馬台国はどこにあったか?」と明確で、検討材料が「魏志倭人伝」の約2000字に限られているので、「古代天皇の秘密」にくらべ実に読みやすい。
がしかし、内容については、以前読んだときはなるほどと思ったものだが、今回読み直してみたところでは、あまり感心できなかった。
神津恭介が、邪馬台国の位置を定めるにあたって考察した「神津説」のポイントは大きくは次の3つ。
1.壱岐から九州への上陸地点・末盧國を従来説の東松浦半島からより東の宗像神湊と推定
2.魏志倭人伝に書かれている「千余里」などの余の部分を従来より大きく見積り、不彌國と邪馬台国は隣接していると推定
3.邪馬台国に至る「水行十日、陸行一月」を、スタート地点からのトータル日数と推定

このうち2については、文字の解釈ではこのようにもとれるかというところで、さして独創性はない。
3については、魏志倭人伝に書かれている行程では、多く見積もっても水行5日陸行10日程度。神津はここで、朝鮮半島内での陸行に20日程度かかったのではと推理しているが、これはかなり強引。もし朝鮮半島内での移動にそんなに時間がかかるのなら(何しろ全行程の半分だ)、魏志倭人伝のこの部分に何らかの記述があってしかるべきだ。
また、原文を見ても、「水行十日、陸行一月」がトータルでの日数だと感じさせる文にはなっていない。

さらに、この説自体、神津恭介の独創というわけではなく、この作品が書かれるより前に古田武彦が発表している。これについて神津恭介は味の素と協和発酵の製法特許の話などをもちだしてきて言い訳しているが、これも苦しいといわざるをえない。
ちなみに、私が読んでいるのは1976年に書かれた「改稿新版」をもとにした文庫なのだが、このあたりの記述は改稿新版で付け加えられたものなのだろう。いずれ改稿前のオリジナル版のほうも読んでみたい。

 
    
高木彬光「古代天皇の秘密」
神津恭介ものの未読長編もいよいよ残りわずかになってきた。今回はその中でも最大の難物「古代天皇の秘密」を読了。
これはねぇ、きついですよ。同じ歴史推理でも、「成吉思汗の秘密」や「邪馬台国の秘密」は、ジンギスカンは源義経だったのか?とか邪馬台国はどこにあったのか?という明確な謎が提示され、それを推理していくというものだったからよかったが、今回は日本の古代史という漠然としたテーマ。日本がどうやって成立したかという長いスパンの話。その中で謎らしい謎もちょこちょこ出てくるのだが、何しろ私に古代史についての知識が乏しいので、神津恭介が独自の推理を披露しても、どこまで感心すればいいのかすらわからない。
松下研三も作品中で言っているように、「今度のテーマは大き過ぎました」だ。

ただ、作品中、松下研三が参考書籍として「東日流外三郡誌」を挙げ、神津恭介がそれをもとに推理しているのにはひっかかった。これ、今ではほぼ完全に偽書とされているもの。「古代天皇の秘密」刊行時(1986年)にはまだセンセーショナルな扱いを受けていたのだろうが、これをまともにとりあげているのでは本全体の信憑性がゆらぐ。幸い、作品全体にかかわることでなく古代の東北地方についての考察の部分だけで済んではいるのだが。

    
高木彬光「誘拐」
これも名作ですね! なぜ今までこの作品を読んでいなかったのかと思うぐらい。そのものずばりのタイトルが示すとおり誘拐ものだが、作者が実際にあった誘拐事件を研究し、裁判の傍聴も通いつめたというだけあり、非常にリアリティに富んでいる。

冒頭、ある誘拐事件の裁判を傍聴する「彼」。「彼」は失敗に終わったこの誘拐事件を教訓に、ある計画を練り上げる。
その後に起こる、金融業者の息子の誘拐事件。身代金は巧みな方法で奪われ、息子は戻ってこない……。
本作の主役・弁護士の百谷泉一郎とその妻・明子が本格登場するのは、物語も終盤になってから。あるきっかけでこの事件に関わることとなった百谷は、明子の発案によるあっと驚く奇策により犯人を特定する。

いやこの奇策はびっくり。まじめに考えると成功確率はかなり低い、バカミスといってもいい作戦なのだが、奇想天外なのは確か。のちに筒井康隆が書いた「富豪刑事」にも通ずるものがある。

さらに驚いたのが、「彼」の正体がわかったあとに「彼」から語られる事件の真相。誘拐事件と見せかけて犯人のねらいは別のところにあった。しかもこの犯人、肝心なところで痛恨のミスを冒していたという二重のサプライズ。

解説によると、雑誌への連載開始時、著者の頭の中には冒頭の「彼」の着想しかなかったというが、にわかには信じがたい。結末まで考えていなければこんな傑作書けるとも思えない。

    
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