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ミステリーや映画、パソコンなど趣味の話題を書きつらねています。最近はもっぱら映画の感想、そしてデジカメやパソコンなどデジタル機器に集中しがち。アジア関連の話題は別ブログ「萌えるアジア」に書いています。
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鮎川哲也「黒いトランク」
鮎川哲也の代表作「黒いトランク」。これまで、死体の入ったトランクがあっちへ行ったりこっちへ行ったりとトリックが複雑そうで読むのを敬遠していたが、ようやく読んでみた。珍しく、トランクの動きをメモしたりしながら。

と心して読んだおかげで、トランクの動きについてはちゃんと理解できた。トランクの移動そのものより、どこで2つのトランクがすりかわったのかが肝だった。
また、メイン以外のアリバイトリックの秀逸。
作品のはしばしに、文学作品への蘊蓄やら旅情をかきたてる描写やらがあったのも意外な点。もう少し無味乾燥な内容かと思っていたのだが。
他の作品ではほとんど描かれていない鬼貫警部のプライベートな部分が書かれているのも魅力。今さらいうまでもないことだが、鮎川哲也ファン、そして本格ミステリーファンは必読の書だろう。

    
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これは便利! トラックパッドの手書き認識
久々にMacBook Airをさわり、ことえりでは手書き入力はできないのかな?とか調べていたところ、ことえりでは手書き入力機能がなかったが、中国語簡体字/繁体字にトラックパッド手書き認識の機能があることが判明。
この手書き入力、iPhoneの手書き入力と同様に、トラックパッド上に指で漢字を書くとちゃんと認識してくれる。
いやぁ、これは便利だわ。いつも中国語を手書き入力するときは、Windowsのテキストエディタ上でChinese Writer9の手書き入力パッドを使っているのだが、マウスで文字を書いているので、1文字書くにも一苦労。こんな便利な機能があるのなら、これだけのために長文入力作業をWindowsからMacに乗り換えてもいいくらいだ。

今まで気づかなかったが、この機能、Lionの前のバージョンSnowLeopardから載っていたようだ。
中国語入力用ではあるが、もちろん日本語入力時、読みがわからない漢字を入力するときにも使える。

もしやと思い、手もちのノートパソコンVAIO Xのタッチパッドでも手書き入力できるかと思い、調べてみたところ、こちらにもIMEパッドキャプチャーという機能があり、パッド上に文字を書くことで文字認識ができる機能があった。が、この機能、Microsoft IMEとMicrosoft Office IME 2007では使えたが、デフォルトの日本語入力として使っているGoogle日本語入力と中国語入力のChinese Writer9では使えなかった。残念!

    
Mac OSX LION 入れました
先日発表されたMac OSX LION、早速、私の初代MacBook Airにインストールしてみた。 といってもMac自体あまり使っていず、4月に「このタイ映画がすごい! 2009」電子書籍版をつくってiOS用のアプリとしてAppleに申請して以来の使用となるので、LIONのインストール前にまずソフトウェアのアップデート。
その後、Mac App StoreからLIONを2600円で購入して、インストール。これがもうまったくなにひとつ問題なく、こんなに簡単でいいのかというぐらいスムーズに終了。

ではその感想を……といってもまだほとんどさわっていないので、最初に気づいた点を2つだけ。
まず、多くの人が指摘している、2本指でトラックパッドを上下にスクロールしたときの挙動問題。これがデフォルトの設定では、今までと画面の動きが逆になっている。今までは指を下に動かすと画面が上にせり上がったのに対し、LIONでは画面も下にせり下がる。 要するに、iPhoneやiPadなどiOSで画面にタッチしてそのまま下にスクロールすると画面も下に下がるので、それと同じにしようということなのだろう。
しかし、これ、無理があるのでは? iOSでは画面に直接タッチしてるからこの挙動、非常に直感的でわかりやすい。というかこの動きしか考えられない。
それに対し、LIONのタッチパッドの場合、直接画面に触れるわけじゃないからねぇ。それに今まではトラックパッドでスクロールバーを下に下げると画面が上に上がっていたわけで、この動きに不自然さを感じていなかったのだから、従来の動きのほうがNaturalだと思う。
PhotoshopやIllustratorの「手のひらツール」みたいなものが画面上に表示されて、それに連動するのであれば、まだわかるのだが。

次に気になったのが、デフォルトではスクロールバーが表示されないこと。これではウィンドウの下に続きがあるのかないのか一見しただけではわからない。
トラックパッドに2本指を置いて動かしはじめて、ようやくスクロールバーが出現する。
最初からあるものをわざわざ隠して不便にすることもないと思うのだが。

もっとも、トラックパッドのスクロールの方向も、スクロールバーの表示も設定で変更できるので、問題といえばないのだが。

さて、猫科の大型動物の名前をコードネームに割り当ててきたOSXシリーズ、今回百獣の王LIONを使ったということで、このシリーズ、これで打ち止めということか?

    
森博嗣「DOG&DOLL」
森博嗣の音楽エッセイ。本人も書いているが、森博嗣に音楽のエッセイを依頼するとはかなり意表をついた試み。しかもそれが単発ではなく単行本一冊になるぐらい続いているというのは驚き。
中身も、ふつうの音楽エッセイとはかなり違っておもしろい。森博嗣ならではの考え方とか趣味嗜好が文章からあふれだしている。最近、森博嗣の小説は読んでいないが、エッセイのたぐいは実に興味深い。またみつけたら買おう。

とくにおもしろかったのが、ゆうきまさみとの対談の中で言っていた、「音楽の歌詞って不自然なものが多い」という話。「『オバケのQ太郎』の曲なんか、「いつもおなかをすかしているんだよ だけど犬にはとっても弱いんだってさ」という歌詞なんだけど、お腹をすかしていることと犬に弱いことに、何の関係があるのか、なぜここを「だけど」という接続詞でつなぐのか、まったくわからない」と述べている。いやまったくそのとおり。

ちなみに、これは正確には「新・オバケのQ太郎」のほうの主題歌だが、旧「オバケのQ太郎」についても言及している。
「毛が3本だけど空を飛べるって歌詞にしても、べつに毛の本数と飛ぶ能力にはなんの関係もないではないか」
こちらの歌詞は「頭のてっぺんに毛が3本 毛が3本 だけども僕は飛べるんだ」
オバQの主題歌は、新旧ともに接続詞「だけど」の使い方がおかしいわけだ。どちらも作詞は東京ムービー企画部。

しかし、別のページで、理不尽な歌詞の例として、「アルプスの少女ハイジ」の歌詞について、「口笛が遠くまで聞こえる理由を祖父に尋ねていたり……。お祖父さんは、理科の先生か?」と書いているが、さすがにこれは言い過ぎだろう。子供はいろいろな疑問について身近な人に片っ端から尋ねるものだし。

というわけで予想外におもしろかった森博嗣の音楽エッセイだが、書名がよくない。「DOG&DOLL」では誰も音楽エッセイとは思わない。「ロックンロール」をもじって「DOG&DOLL」にしたとのことだが、さすがにこれは失敗でしょう。おまけにカバーイラストも犬と人形だし。編集者は何をやってるんだ。

    
ワンフェス
幕張メッセで開かれたワンダーフェスティバル2011夏に行ってきた。
あれ? いつもより人出が少ないような。ブースも隙隙で空きスペースがやけに多いなと思いつつパンフを読んだら、震災の影響で、今回にかぎり当日版権の受け付けが行なわれなかったとのこと。

当日版権なしじゃ、そりゃ参加者も減るわな。パンフレットによると、参加ディーラーは前回の2割減ということだが、よく2割減程度で収まったものだ。

    
べつやくれい「東京おさぼりスポット探検隊」
べつやくれいによるコミックエッセイ。タイトルは「東京おさぼりスポット--」だが、まぁ、山手線各駅近くのエリアで、公園やお店など作者が気になったものをいろいろ挙げていくというもの。
この作者のチョイスが一味違っておもしろく、立ち読みしているうちに次々とページをめくっていってしまい、とうとう購入することに。
たとえば渋谷エリアで真っ先に紹介しているのが、格安ファミレス、ジョイタイム。その他、東急東横店、東急本店、西武の屋上ペットショップめぐりとか、東急ハンズのサイコロ売り場とか。
品川駅の品川丼、恵比寿のタコ公園、新大久保のホットク、ピーナッツバター焼きイカ、インスタントトッポギなど、どのエリアにもひとつやふたつ、気になるものがあり、行ってみたくなる。

作者は若い女性の方。ときどきコミックの中にチラチラと本人が写真で登場するが、それを見るとかなりの美女。それでいてこのスポット選びのセンス、ただものではない。

ちなみに、今日渋谷へ行く用があったので、早速ジョイタイムを探しに行ったのだが、なんとつぶれていた。ネットで見たところ、今年の2月28日で閉店したそうだ。この本のオビにも「デザート付きで510円!渋谷の激安ファミレス」とうたっているのに。この本自体、2010年7月2日発行とそんな古い本でもないのに、世の中の移り変わりは速い……。

(追記) あれっ、今Wikipediaで見て知ったのですが、べつやくれいさんって、劇作家・別役実の娘さんなんですね。

    
鮎川哲也「人それを情死と呼ぶ」
鮎川哲也が、「黒の白鳥」「憎悪の化石」の翌々年(1961年)に発表した「人それを情死と呼ぶ」。この作品も「黒の白鳥」に負けず劣らずの名作だった。

富士の樹海で発見された男女の白骨死体。浮気の末の心中かと思われたが、死んだ男の妻と妹は、この心中が偽装ではないかと疑いをもつ……。

偽装心中というと、真っ先に思い浮かぶのが、松本清張の「点と線」。
松本清張と鮎川哲也は因縁浅からぬものがあり、同じ雑誌に同時期に連載していた「黒の白鳥」と「零の焦点」で、犯行動機がカブってしまうなどの出来事もあった。これは偶然の一致だが、「人それを情死と呼ぶ」で心中、それも汚職問題による心中を扱っているのは、「点と線」を意識したものと考えられる。
というより、本人があとがきで「おなじ汚職という問題をとり上げた場合、本格作家はそれをどう料理するか」と述べているのだから間違いない。

「点と線」の有名な「4分間の空白」、鉄道マニア的な視点ではとても興味深いが、別段これをプロットに組み入れなくても成立する。というか、この4分間にどうやって向こう側のホームにいる人間を目撃させたのかと考えると実現不可能ともいえる。
メインのアリバイトリックも、今となっては弱い。

その点、この「人それを情死と呼ぶ」、心中と思われたものが偽装ではないかと疑うきっかけもスムーズ、男の妹と妻が素人ながら捜査に乗り出す描写も不自然でなく、途中までフーダニットでひっぱった上、偽装心中と思われた事件の意外な犯人と犯行動機が浮かび上がり、その犯人が犯した殺人事件のアリバイトリックも小粒ながらユニーク。そして結末はセンチメンタルな余韻を残す。
と、ミステリーとしても人間ドラマとしてもバランスがとれ、「憎悪の化石」のような欠点もない佳作。
一般的な知名度では「点と線」に劣るが、本格ミステリーとして見た場合、明らかにこの「人それを情死と呼ぶ」のほうに軍配があがる。

    
「ぴあ」最終号!
雑誌の休刊・廃刊はもはや当たり前。たいていの雑誌の休刊には驚かなくなってきたが、「ぴあ」が本日発売の号で最終号!というのは久々の衝撃。高校生、大学生の頃には毎月(当時は月刊だった)買っては映画欄をじっくり見て、ロードショーや名画座に足を運んだものだ。「ぴあ」主催の予告編大会やイベントにも行ったこともある。いや、それどころか「ぴあ」の入社試験を受けたこともある。

それだけに感慨深いものがある。しかし、よく考えたら私自身、「チケットぴあ」を利用することはあっても、「ぴあ」自体は久しく買っていない。映画の上映スケジュールなどはネットで調べればいいし、わざわざ「ぴあ」を買う必要性はまったくなくなっている。

超特大&創刊号復刻版付きの最終号を買って読んだところ、「ぴあ」休刊はもう4月には発表されていたようだ。たいていの雑誌がひっそりとなくなる中、「ぴあ」は休刊イベントまでやるようで、この辺も「ぴあ」らしいところ。

ちなみに、付録で付いていた「ぴあ」創刊号復刻版には当時(1972年7~8月)にテレビ放送された映画が載っていたのだが、これを見ると、夏ということもあり、ほぼ毎日恐怖映画や怪談映画が放送されている。
 7/10 亡霊怪猫屋敷
 7/11 ミイラ怪人の呪い
 7/12 女殺し油地獄
 7/14 回転
 ……
今このラインナップで放送があったら、毎日テレビで映画を観続けているなぁ。

    
西村京太郎「夜行列車殺人事件」
西村京太郎初期のトラベル・ミステリー。トラベル・ミステリーも初期の作品はやはりおもしろい。「寝台特急殺人事件」「終着駅殺人事件」などは既読だが、どれも名作だった。

まずなにより冒頭のツカミがいい。国鉄の総裁あてに、「夜行列車」とだけ書かれた便箋の入った手紙が送られてくる。次の日は「午前三時」とだけ書かれた手紙が……。結局、四月吉日午前三時に夜行列車の爆破を決行する予告だった。しかし日にちも列車の指定もなく、国鉄も警察もこれといった手をうてないまま時間が過ぎていく。

一方、恋人の目の前で東京駅から山陰へ向かう夜行列車「出雲」に乗ったはずの男が、青森駅で死体となって発見される。その男の腕時計のアラームが午前3時にセットされていた。というところから十津川警部は、この事件が謎の脅迫状と関連があるものと推測し、捜査に乗り出す。

列車にしかけた爆弾となると、それだけでサスペンスが盛り上がるが、本作ではドタン場になり爆弾が仕掛けられた列車が判明し、最寄りの駅で乗客を下ろそうとしたところで、犯人から「列車の窓やドアを開けようとしたらダイナマイトが爆発する」という電話が入る。このピンチをどうやって切り抜けるかでさらにサスペンスが盛り上がるという二段構え。これ、ちゃんと映画でつくったらそうとうおもしろくなるだろうなぁ。

私はとくに鉄道マニアというわけではないが、読み終わるとやはり夜行列車に乗りたくなる。しかし、この本が書かれた当時(1981年)と比べると、夜行列車の数は激減している。早いうちに乗っておかないと夜行列車自体消滅してしまいそう。

    
「ステップフォードの妻たち」
先月はDVDを大量に観たが、今月になってからガクッとペースが落ちた。そのかわり、ミステリーを立て続けに読んでるわけだが。
今日は、放置していたDVD「ステップフォードの妻たち」をようやく鑑賞。

これが思いもよらぬトンデモ映画だった。

(以下ネタバレあり)
[「ステップフォードの妻たち」]の続きを読む     
鮎川哲也「憎悪の化石」 修正点は?
創元推理文庫版「憎悪の化石」を入手したので、早速手元の双葉社版と照らし合わせてみた。読者に事前に手がかりを開示していないという問題点が、創元推理文庫版では克服されているのかと思ったが、結論からいうとそうではなかった。

(以下、ネタバレあり)
[鮎川哲也「憎悪の化石」 修正点は?]の続きを読む     
敵性語は法律で禁止されているわけではなかった
第二次大戦中、日本では敵性語禁止なんていう無茶なことが行なわれていたが、これは別に法律で禁止されていたわけではなかった。新聞社が勝手に始めたキャンペーンが発端となった自主的な行動だった。

今日、週刊アスキーで連載されている「樋口真嗣の暮しの手帳」を読んで初めて知ったこの事実。俄かには信じがたく、ネットでも調べたが、たしかにそのようだ。別に国も軍も禁止していず、マスコミが煽って、触発された一部市民が勝手に取り締まっていただけとか。

    
LOOXCIE LX2
ヘッドセットタイプのビデオカメラ「LOOXCIE LX2」を購入。
同じメーカーのLOOXCIE LX1ももっているのだが、これがとんだ不良品で、バッテリーフル充電するのに丸一日かかり、しかも半日放っておくともうバッテリー切れになってしまう。おかげで買ってから数か月たつというのにまともに使えたのは1回しかない。 さすがにすべての商品がこれでは苦情続出だろうから、私の買ったものがたまたまバッテリー不良だったのだろう。
今回届いたLOOXCIE LX2はそんなこともなく、充電したらちゃんと残量を保っていてくれる。
デザインもより一般的なヘッドセットに近くなり、耳に付けてその辺を歩いてもとくに注目されたりすることはないだろう。
耳掛けとイヤーバッドによる耳への固定も、LX2のほうが安定感がある。ただし、LX1にはあったレンズの回転機能がLX2ではなくなってしまったので、水平をとるのが難しい。というかこれで水平をとるのは不可能だ。

iPhoneまたはAndroidケータイとBluetooth接続し、アプリで撮影画面をプレビューできるのもLX1と同じ。 試しに昨日、今日とそれぞれ1時間ほど使ってみたが、基本的には問題ない。これならまとめに使えそうだ。

スペックを書いておくと
重量 22g
ビデオ解像度 480p、320p
内蔵メモリー 4GB
320pで5時間、480pで1.5時間撮影可能
ファイル形式 MP4

サイズの違った耳掛けが2種、イヤーバッドが4種付属していて、耳のサイズに合わせて調整できる。

なお、私の買ったものはメモリー4GBだが、メモリー8GBの上位機種もある。
    
笹沢左保「招かれざる客」
笹沢左保「招かれざる客」を読んだ。といっても数年前に読んだばかりなのだが。
なぜ、読み直したかというと、「憎悪の化石」と同じトリックを使っているから。
とはいえ、このトリックが突出しているわけではなく、いくつかあるトリックのうちのひとつ。しかし、初読のときも思ったが、やはりこのトリックは無理がある。だいたい、一人の人間が8日間もずーっと部屋に閉じ籠もりっきりで作業してるなんてことがあるのか?
これは、同じトリックでも「憎悪の化石」のほうがずっとスマートだ。

なお、刊行日は「憎悪の化石」が1959年11月。「招かれざる客」は1960年3月。ただし、「招かれざる客」は前年の江戸沢乱歩賞応募作品であり、この賞の締切は1959年5月末。なので、どちらかがパクったということではなく、偶然の一致だろう。こういうことってけっこうあるんですね。

    
鮎川哲也「憎悪の化石」 これはアンフェアでしょう
鮎川哲也「憎悪の化石」を読んだ。数日前に読んだ「黒い白鳥」と同時期に書かれていたという作品。「黒い白鳥」創作ノートによると、「『黒い白鳥』のほうは月刊誌連載、『憎悪の化石』のほうは単行本書き下ろしだったので、ふだんは『憎悪の化石』のほうを執筆し、月刊誌の締切が迫ってくるとその十日前から『黒い白鳥』に切り換えて、毎回百枚ずつ書きあげた」のだそうだ。

同時期に2作となると、通常、意識して作風を変えたりプロットを違うものにするものだと思うのだが、なんと、「黒い白鳥」と「憎悪の化石」、ほとんど同じあらすじだった。
具体的にいうと、両作品とも冒頭では女性が銀座でショッピングしたり観劇したり。一転して殺人事件が起こり、容疑者が次々とあがるがいずれもアリバイがあり、逮捕に至らない。捜査が膠着し、鬼貫と丹那刑事にバトンタッチされる。地道な捜査とひらめきによりアリバイトリックを暴き事件解決。

しかし、「憎悪の化石」は「黒い白鳥」とは大きく違う点が1点あった。
それは、トリック解明の手がかりが、読者に開示されていないこと。えー、こんなことあっていいのか。本格ミステリーの第一人者の代表作のひとつとされ、「黒い白鳥」と共に第13回日本推理作家協会賞を受賞しているというのに。
正確にいうと、事前に情報が開示されていないのは、メインとなる時刻表アリバイトリック。時刻表が載っているのだが、これをいくら目を皿のようにして見ても解けない。何しろ、事件当日は新ダイヤ切り換え直前で、時刻表に載っているのとは異なる時刻で列車が走っていたというのだから話にならない。それに、もしそうだったとしたら時刻表にもちゃんと表示されるはずだと思うのだが……。
また、このトリック自体、かなり他愛ないもので、駅員に聞いたら一発でわかるはず。

一方、別の容疑者が仕掛けた、証人に日付を誤認されるトリックは、かなりリスキーだが豪快。トリックとしてはこちらのほうがはるかに出来がいい。正直、このトリックが判明した時点で読了した気になり、それにしてはやけに残りページがあるななどと思ってしまった。ネットの書き込みを見ると類似のトリックは他の作品にもあるようだが、いずれもこの作品よりあとに発表されたもの。著者がこのトリックを考案したのだとしたら、それだけで誇っていい。

なお、「本格ミステリフラッシュバック」によると、この「憎悪の化石」、「初刊本以降のすべての版に残されていた、鉄道アリバイに関する重大な瑕疵が創元推理文庫版で初めて修正された」のだそうだ。私が読んだのは双葉社の日本推理作家協会賞受賞作全集12というもの。瑕疵が残ったままのものだったんだ。創元推理文庫版も買って、どこが修正されたのか見比べてみよう。

 
    
松本清張「十万分の一の偶然」
松本清張「十万分の一の偶然」を読んだ。
東名高速での凄惨な交通事故の瞬間を撮影し、ニュース写真年間最高賞に輝いたアマチュアカメラマン。しかし本当に偶然の賜なのか。この交通事故で死んだ女性の婚約者は、真相を知るべく調査に乗り出した。

予想通り、この決定的瞬間をとらえた写真は偶然撮れたわけではないことがわかり、この事実を知った婚約者は復讐に乗り出す。……というわけで、ストーリーはきわめてシンプル。ふつうのミステリーならこの事件が発端となって別の事件が起こったり、交通事故の意外な真相が判明したりするところだろうが、そういうこともない。ミステリーというより復讐譚。松本清張の作品でいえば「霧の旗」に近い。
しかし、「霧の旗」ほどのインパクトはなく、わざわざ長編で書かなくても短編で十分という感じ。

    
広末涼子主演ドラマ「悪霊学園」
ホームドラマチャンネルのサイトを見ていたら、広末涼子主演の「悪霊学園」というのを発見。『当時16歳の広末涼子が主演を務めた怪談話!エンディングテーマは広末涼子の「MAjiでKoiする5秒前」!』とのことだが、そんなドラマあったっけ。記憶にないなぁ。
とさらに調べてみたところ、「木曜の怪談'97」枠内で放送されたドラマだった。いやぁ、知らなかった。これは観なくては。
7月6日の第1話は見逃してしまったが、幸い本日10日にも第1話放送があったので、観てみた。
広末は剣道場の跡継ぎ。初恋をすると守護霊が見えるようになる特殊能力をもち、守護霊(中村玉緒)から悪霊退治を命じられる。
この回は、学校の女教師にとりついたへび女を退治する話。話は他愛ないが、へび女の特殊メイクが意外によくできていた。

しかしそれより何より、このころの広末のかわいさはずば抜けている。剣道着姿も学生服姿も素晴らしい。歴代短髪美少女ナンバーワンですね。もちろん今もきれいだが、このころのかわいさは半端じゃない。
ちなみに、若き日の仲間由紀恵も広末のクラスメートとして共演している。仲間由紀恵は仲間由紀恵で、14年も前なのに今とほとんど変わってないのがすごい。

    
「昭和プロレスマガジン第24号」
私が唯一毎号欠かさず買っているミニコミ「昭和プロレスマガジン」。
毎号、ひとつのテーマを設け掘り下げているのだが、そのテーマ選びが実にマニアック。今号は「特集:ワールド大リーグ戦 第3弾!」。その昔日本プロレスで開催された春の本場所ワールド大リーグ戦。昭和プロレスマガジンでも過去2回ワールド大リーグ戦の特集が組まれており、今回の特集は1969年の第11回から最後のワールドリーグ戦となった第14回までを対象としたもの。

第11回ワールドリーグ戦は、アントニオ猪木が劇的な初優勝をとげた大会。私もリアルタイムで観て感激した覚えのある。
今にして思えば日本組、外人組それぞれ2人が同点だったのになぜまず日本人同士、外人同士で決勝戦出場者決定戦をしないのかとか、決勝トーナメント第1試合で馬場とボボ・ブラジルが引き分けになったらなぜ両者失格なのかとかツッコミどころ満載なのだが、当時は感動した。
マッチメークの苦心のあとがうかがえる。この苦心のマッチメールのおかげで、決勝トーナメント第2試合、猪木対クリス・マルコフの盛り上がりは半端じゃなかった。
観客動員数を観ても、力道山時代死後は減少していたワールドリーグ戦動員数が、この第11回だけははねあがっている。

この昭和プロレスマガジン第24号では、11~14回の各大会の分析を行なった上、実際には日本プロレスの崩壊によって開かれることのなかった第15回が開かれたらと妄想する記事まである。妄想はプロレスマニアの得意技とはいえこれはすごい。

そして短命に終わることの多いこの手のミニコミの中にあって、この「昭和プロレスマガジン」、ちゃんと年に数冊ずつ出し続けているのはえらい。これはぜひ見習いたい。

    
鮎川哲也「黒い白鳥」
鮎川哲也「黒い白鳥」を読んだ。
これは素晴らしい。トリックとストーリーが高いレベルでバランスを保っていて、本格ミステリーのお手本のような作品。

(以下ネタバレあり)
[鮎川哲也「黒い白鳥」]の続きを読む     
土屋隆夫「天狗の面」
土屋隆夫最初の長編作品「天狗の面」を読んだ。
これまでも土屋隆夫の作品は何作か読んでいるが、この作品はこれまで読んだものとは文体も異なり、本文中に作者がたびたび読者に語りかけたりと、解説によれば戯作的と表現された文体が目を引いた。

田舎の村で起こった天狗教に端を発する連続殺人事件。とくに最初の事件は、衆人環視の中で飲んだお茶で毒殺されるという不可能犯罪。思いがけないほど読みやすく、最後まで一気に読めた。地道な捜査で事件を解決に導くアリバイトリックも悪くはないが、やはりいったいどうやったのか想像もつかない不可能犯罪のほうがおもしろい。

刊行は1958年。しかしトリックがしっかりしている上、この事件が起きる田舎の風土もよく書けているので、今読んでも古びていない。

    
松本清張「時間の習俗」
「点と線」の三原刑事、鳥飼刑事が再び登場するアリバイトリックもの。容疑者が犯行時刻当時に撮ったと主張する門司の和布刈(めかり)神事の写真が重要な証拠物件となるのだが、驚いたことに、この写真を使ったアリバイトリック、基本的にはつい数日前に読んだ土屋隆夫「影の告発」と同じものだった。
どっちが先だろうと思ったが、「時間の習俗」は「旅」1961年5月号~1962年11月号に連載され、1962年11月に発刊。「影の告発」は「宝石」1962年5月~12月に掲載され、1963年1月に発刊、とほぼ同時期。偶然、両者同じようなトリックを思いついたということなのだろう。



(以下ネタバレあり)
[松本清張「時間の習俗」]の続きを読む     
EX-TR100
カシオのEX-TR100の国内発売日がようやく決まりましたね。7月22日発売とか。
この機種、待ちきれなくてアメリカのAmazon.comで購入して以来、かなり重宝して使っている。やはりなんといっても自分撮り用には最適。

    
鮎川哲也「死びとの座」
アリバイトリックものの巨匠 鮎川哲也の「死びとの座」。読んでいると、作中のそっくりさんタレントが本物の動きをビデオを観て研究するという描写があり、あれれと思ったのだが、あとで解説を読んだら1983年刊の鮎川哲也最後の長編作品だった。
鮎川哲也というと、どうしても古い時代の作家というイメージがあるなぁ。

鮎川哲也にしては珍しく、週刊誌に連載した作品だけあり、話が冗長。容疑者がみつかったかと思うとアリバイが確定したりの繰り返し、また鮎川哲也本人をモデルにしたとおぼしき作家の音楽談義も話を冗長にする要因になっている。まぁ、これはこれでおもしろくはあったが。
しかし、やはり本格ミステリーは週刊連載向きではないですね。

メインとなるトリックは、現実離れしている上にかなりリスキー。そもそも殺害現場の偽装がこんなに簡単にできるのか? また、このトリックを補強するため、犯人を元重量挙げの選手だったとしているが、さすがにこれはやりすぎでしょう。

    
有栖川有栖「マジックミラー」
このところ、アリバイトリックもののミステリーをハイペースで読んでいる。
今回読んだのは有栖川有栖の「マジックミラー」。有栖川有栖の作品はたいてい読んでいると思ったのだが、これは未読だった。
メインとなるのは、双子による鉄道アリバイトリック。これは複雑。よっぽどじっくり読まないと理解できない。現代でちゃんとした鉄道アリバイトリックをつくろうとしたら、ここまでやらないといけないのか。
作中に登場する作家のアリバイトリック講義も読みどころ。

    
土屋隆夫「影の告発」
アリバイトリックものの名作として、というより本格ミステリーの名作として名高い「影の告発」を読了。写真を使ったアリバイトリックは、今となってはふつうだが、もしかしてこのトリックはこの作品が元祖?
この犯人の第1の殺人のおけるアリバイトリック、ちょっとでも予定外のことが起きたらたちまち破綻してしまうかなりリスキーなもの。第2の殺人における電話トリックは急遽考えたという設定だけあって穴だらけ。電話をかけさせた相手が電話番号を自分の手帳などに書き写していたらそれだけでアウトだ。
しかし、トリックの粗が気にならないくらい、最後までおもしろく読めた。徐々に明らかになる被害者の過去と犯人の犯行動機。本格ミステリーのお手本のような作品。

冒頭、都心のデパートに毎年春になると地方の修学旅行生が大量に押し寄せるという描写には時代を感じた。みな生まれて初めてエレベーターに乗り大はしゃぎするとか。
本作が書かれたのは1962年。50年前の日本はこんなだったんですね。

    
鮎川哲也「アリバイ崩し」
光文社文庫5月の新刊。
短編5編とエッセイ2編を収録。タイトルどおり、小説はどれもアリバイトリックを主眼としたもの。ま、この本に限らず、鮎川哲也の場合、大半の作品がアリバイトリックものといえるのだが。
読み終えた後、解説を読んで知ったのだが、どれも1960年代に書かれたもの。それにしてはまったく古さを感じなかった。

    
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